主な疾患
発達障害

発達障害とは
一般的な発達は、例えば「2歳頃になると、2語文が話せる」「3歳頃から、自分の名前と年齢が言える」など多くの子供ができるようになることが、まだ、できないといった発達の遅れで、周囲が気づきます。しかし、いつの間にか追いつく子供もたくさんいます。つまり、発達の進み具合は個人差が大きく、できること・できないことの凹凸もあるものです。
発達の問題は、一面では、「その子の個性」という見方もできます。個々人の発達の特性が環境に合っていると、個性として輝きますし、環境と合わない場合は、行動の問題点ばかり目立ってしまいます。学校、社会に適応できず、辛い毎日になってしまい、日常生活、社会生活に支障が出ます。また、適応できないことで、自信をなくし、うつ病を併発する可能性も高いです。

*自閉症スペクトラム症
症状の主な特徴は、1. 社会性の障害、2. コミュニケーションの障害、3. 想像力の障害です。この3つの障害はそれぞれに関係があり、3つ一緒に生じやすいのも特徴です。

 1  社会性の障害とは、相互的な対人関係が難しいことを言います。例えば、大勢と一緒より1人でする活動を好む、新しい友人を作るのは苦手、相手の表情から考えや感じていることがわからないなどです。

2  コミュニケーションの障害とは、冗談がわからないことがよくある、会話をどう進めたらよいかわからなくなることがあるなどです。

3  想像力の障害とは、物語を呼んでも登場人物や場面を具体的に想像しにくい、特定のものについて情報を集めるのが好き、子供と○○ごっこ遊びができないなどです。

こうした発達の問題は、外からは気づかれにくいことが多く、「自分勝手」「空気を読めない」などと言われ辛い思いをします。上記の特徴が強く、日常生活、社会生活を営む上で、困難が強ければ、環境調整、認知行動療法,デイケア参加、就労支援などで、適切に行動できるように対処法を考えるなどの支援が必要です。

*注意欠陥多動症(ADHD)
不注意、多動・衝動性が主たる症状です。 診断基準では12歳以前から、それらの症状が出現しているとされています。 大人になるにつれて、症状が収まるとされていますが、近年では、約60%の方が大人になっても、ADHDの症状が残ると言われています。そのため、大人のADHDの診断を希望し、受診される方も増えています。 大人のADHDの特徴は不注意傾向が目立ちます。 不注意傾向の強い方は、ケアレスミス、物忘れ、忘れ物が多く、財布、携帯、カギなど大切なものにも係わらず、メモなどで気に留めておいても忘れてしまいます。部屋の整理ができない、物事を順序だてて行うことが苦手、時間管理もできない。作業工程を想定して、物事を進めることができず、結果、期日に間に合わないという症状でお困りの方が多いです。
多動の症状は、落ち着かず、そわそわして、集中できない。学校の授業、職場での会議でじっとしていられないなど。 衝動の症状は、感情のコントロール、抑制が困難で思ったことをすぐにしてしまう。例えば、衝動買い、不用意な発言をしてしまい、周りから、叱責、失笑をかうなどです。
上記の症状が家庭と学校、職場など複数の場面で年齢にそぐわないほど、認められる障害です。頻回あるいは程度が過ぎるため、対人関係や学業・業務に支障がでる場合は、ADHDの可能性があります。

*限局性学習症
知的能力、視力、聴力に問題がないにも関わらず、読む、書く、計算するといった学習能力のどれか1つ以上に障害がある状態。

診断
問診、診断基準の確認、心理検査。ご家族から、子供のころの状況の聞き取りをするなど、総合的に行います。


治療



ADHDにのみ、薬物療法があります。 発達の障害は、その方の特性と理解し、日常生活、社会生活に支障を感じなければ、問題ありませんが、症状のために日々の生活に困難を感じている場合には治療が必要です。
治療としては、薬物療法、精神療法、環境調整(周囲に病気の特性を理解してもらう、業務を単純、決まりきった仕事に限局してもらうなど)、認知行動療法、デイケア参加、就労支援(職場での人間関係の調整、業務内容の相談に乗ってもらう)などがあげられます。 発達障害のために、学校生活、仕事や周囲との関係が上手く行かず、2次的にうつ病を併発している方には、うつ病の治療も併せて行います。